一人はつらかったことを話して、もっと近づきたいと思っています。もう一人は、早く解決してあげることが愛情を示すことだと感じ、まず方法を探します。どちらも二人の関係を思っての行動なのに、一方には無関心に、もう一方には終わりのない不満に聞こえてしまいます。こんなとき、本当に男性と女性は違う言葉を話しているのでしょうか。

今日覚えておきたいこと性別で意味を決めつけず、相手が何を言い、自分はどう受け取ったのか、今どんな反応を求めているのかを確かめます。

違う色の吹き出しを見ながら、真ん中の空白のカードに意味を書いてみる恋人たち

「違う言葉を話す」というたとえに、ほっとすることもあります

ジョン・グレイは『ベスト・パートナーになるために』の韓国語版、第5章の冒頭で、次のように書いています。「逆説的に聞こえるかもしれないが、彼らがうまく意思を通わせられたのは、違う言葉を使っていたからだ」(韓国語版からの訳)。愛し合っているのに何度もすれ違う人には、心を引かれる説明です。相手はわざと自分を困らせているのではなく、同じ言葉に別の意味を込めていたのかもしれないと思えるからです。

このたとえは、なじみのない反応をすぐ悪意と決めつけずに済む点で役立ちます。ただ、グレイが本で示した男性と女性の話し方は、著者の説明の枠組みです。目の前の恋人が実際に何を意図したかを証明する対訳表ではありません。たとえを答えとして使い始めると、「男性はもともと話したがらない」「女性はもともと解決より共感だけを求める」と、今確かめるべきことを飛ばしてしまいます。

平均の違いから、一人の人の意図はわかりません

ジャネット・ハイドが2005年にまとめた46件のメタ分析では、男女は心理的特性の多くで平均的に似ており、違いの大きさも年齢や測定状況によって変わっていました。この研究は、性差がすべて存在しないと言っているわけではありません。恋人同士の会話に当てはめるなら、集団の平均を見るより、目の前の人に直接聞くほうがよいでしょう。平均値は、その人の育った環境、以前の関係で身につけたやり方、今日の疲れ、今向き合っている問題を語ってはくれません。

だから「男だからああなんだ」「女だからああなんだ」は、そこで考えるのをやめてしまう言葉になりがちです。実際の会話では、同じ人でも状況によって変わります。仕事の問題は一人で整理したくても、家族の問題はじっくり話したいかもしれません。普段は助言を好む人でも、すでに決断した日には、まず理解してほしいこともあります。性別は、相手に聞かなくてよい理由にはなりません。

同じ言葉でも、伝えようとしていることは違います

たとえば、約束の時間に遅れた人が玄関で「今日はすごくバタバタしてたんだ」と言ったとします。遅れた人は、まず状況を説明すれば誤解が解けると考えています。待っていた人には、「待っていた自分の気持ちは大事ではない」と聞こえます。続けて待っていた人が「次はタクシーに乗ればいいじゃない」と返します。待っていた人には再発を防ぐための提案でも、遅れた人には、事情も聞かずに説教されているように聞こえるかもしれません。これは理解を助けるための架空の例です。

辞書に載る意味が同じでも、会話でその言葉が果たす役割は違います。説明したい、申し訳ない気持ちをわかってほしい、解決策を提案したい、少し中断したい。そんな目的が一つの文に混ざります。聞く側も、言葉だけを聞いているわけではありません。前も謝らずに済ませたという記憶があれば、説明を責任逃れと受け取ります。普段から落ち度を責められる会話が多ければ、質問を攻撃と感じることもあります。二人は単語そのものより、その言葉のあとに起きそうなことを予想して反応しています。

すれ違いは、次の反応まで変えてしまいます。待っていた人が「ごめんの一言もないの?」と声を荒らげると、遅れた人は謝るつもりだったとしても、攻撃されたと感じて理由をさらに長く説明するかもしれません。説明が長くなるほど、待っていた人は責任を逃れようとしていると確信します。最初は謝罪と説明の順番が違っただけなのに、やがて相手の人格を裁くけんかになります。ここで必要なのは、どちらの性別の話し方なのかを当てることではありません。いったん立ち止まり、お互いにどんな意味を予想し、何から自分を守ろうとしているのかを聞くことです。

どちらが変化を求めているかによっても、話し方は変わります

クリステンセンとヒーヴィーが1990年に31組の夫婦の対立を観察したところ、夫も妻も、自分が変化を求める話題では要求が増え、相手が変化を求める話題では引く傾向が見られました。標本の小さい観察研究なので、すべての関係には当てはめられません。それでも、要求する側と避ける側を男女の固定した役割と考える前に、この問題をより負担に感じているのは誰か、変わるよう求められているのは誰かを見る理由にはなります。

家事をもっと分担したい人は、返事を先延ばしにする態度を、二人の関係に関心がないしるしと受け取るかもしれません。今のやり方が楽な人は、同じ質問を非難や圧力と感じるかもしれません。すると一方は答えを得ようとさらに強く問い、もう一方は逃げ場を探します。沈黙が長引くほど、最初の人は不安になります。この流れを「男女の違いだから」で片づけると、誰が何を求め、今の負担が誰に集中しているのかを見落としがちです。

意味を読み解く前に、三つに分けて確かめます

すれ違った瞬間は、三つの欄に分けて考えてみます。まず、実際にあった言葉と行動。次に、自分が受け取った意味。最後に、今求めている反応です。「大丈夫」と言われたなら、事実はその一言です。「自分と話したくないという意味」は、自分が加えた解釈かもしれません。求めている反応は、今日は休んでもらい、そのうえで何時に話を再開するか決めることかもしれません。

確認は取り調べではありません。「急かされているように聞こえたんだけど、今日結論を出してほしかった? それとも私の反応がほしかった?」と、自分の受け取り方として伝え、相手が訂正できる余地を残します。話した側も「一人でいたいという意味だった。話をなかったことにしたいわけじゃなくて、9時にまた話したい」と、目的と次の行動を一緒に伝えられます。お互いの本音を当てる力より、間違えたときに直せる会話のほうが頼りになります。

違いを尊重することにも、境界があります

言葉を整理するのに時間がかかる人もいれば、すぐに返事があってこそつながりを感じる人もいます。この違いは調整できます。休む時間とまた話す時刻を決めたり、口で話す代わりに短いメッセージで先に気持ちを伝えたりできます。すべての会話で同じ方法を使う必要もありません。今回の問題で、二人にできる方法を探せばよいのです。

ただし、侮辱、脅迫、暴力、おびえさせる行為を、男女の言葉の違いとして理解する必要はありません。罰として黙り込むことや、戻って話すという約束を何度も破ることも、単なる話し方の違いではありません。一方だけが説明し、待ち、直し続けなければならないなら、相手の言葉を読み解く技術より、関係の安全と責任を先に考える必要があります。相手が今は答えたくないときは、話すかどうかを選ぶ意思を尊重します。それでも、二人で向き合うべき問題まで永遠になくなるわけではありません。

確認の質問にも、すぐ答えが出ないことがあります。人は自分の言葉の目的にあとから気づくこともあります。そんなときは「よくわからない」をうそだと決めつけず、今はっきりしていることから決められます。今日は一人でいたいのか、先に謝ってほしいのか、一緒に決めるべき期限があるのかを聞きます。違いを理解するとは、すべての違いに名前をつけることではありません。二人が実際に守れる約束を、もう少し具体的にすることです。

短く、はっきり伝える

  • 今こういう意味に聞こえたんだけど、伝えたかったことと合ってる?
  • 今は説明を聞きたいのか、それとも気持ちをわかってほしいのか、聞いてもいい?
  • 一人で考える時間が必要なんだね。この話はいつまた始められそう?

状況を難しくする反応

  • 性別を理由に、相手の意図を聞かずに決めつける
  • 「違い」という言葉で、繰り返される軽視や共同の責任の偏りを覆い隠す
  • 自分の解釈を、相手が実際に言った言葉のようにして言い返す

最近すれ違った言葉を一つ選び、実際に言われたこと、自分が受け取った意味、今求めている反応の三つの欄に書いてみます。

決める前に

  • 相手の性別より、実際の言葉や行動を見たか?
  • 自分が加えた意味を、事実と分けたか?
  • この問題で、誰がどんな変化を求めているか確かめたか?
  • 「違い」という言葉で、安全や責任の問題を覆い隠していないか?

参考資料